吟醸酒用有用麹菌として具備すべき条件として, まずグルロアミラーゼカに着目し, 保存菌株の中からグル謙アミラーゼ生産能の高い株を検索した。麹の諸性質及びそれらの麹を使用した小仕込試験の結果から, 吟醸香の高いRIB642株を選択した。しかし, RIB642株は酸性カルボキシペプチダーゼカが強く, デフェリフェリクローム生産性大で褐変性があるため, 紫外線照射による変異処理を2回行い, 8株の有用株を分離した。これらの菌株を用いて吟醸小仕込試験を行い, 麹の酵素力価, デフェリフェリクローム生産性, 褐変性及び生成酒中の吟醸香等を比較検討した結果, RIB64242-A株を吟醸酒用有用麹菌として選択した。 本研究を行うに当たり, ご協力いただいた中村重光氏, 保坂大二郎氏に感謝いたします。