発酵モロミ中に野生酵母数の大きな違いが予想される酒母添加の有無及び発酵前のSO2添加量の異なるモロミを用いて, ブドウ酒発酵中の微生物管理へのLINのCuSO4培地の利用を検討した。 1.YM培地で検出の全酵母生菌数に対するCuSO4培地で検出の野生酵母生菌数の割合は発酵前の搾汁で高く, 発酵の進行とともにその比は次第に低下した。 2.モロミ発酵中にCuSO4培地で検出された野生酵母数の増加は酒母無添加で著しく, しかもSO2O, 50及び100mg/l添加でそれぞれ5×106, 6×105及び9×105cells/mlであり, 仕込時のSO2添加量により異なった。一方, 酒母添加ではSO2添加量に関わらず, その増加は少なく, 5×104cells/ml程度であった。 3.また培地調製の容易なこと及び検出のための培養日数が短かいことからも発酵モロミ中の野生酵母の動態を知るためにCuSO4培地の利用が期待される。