宮崎県日向灘沿岸および沖縄県石垣島周辺海域からの焼酎用酵母の分離を試みた結果,酵母様微生物を547株分離できた。産膜が見られず,糖醗酵性試験により,良好な結果の得られた16株を選抜した。 選抜菌株について醗酵試験,芋焼酎小仕込み試験を行い,醗酵経過が安定し,酒質も良好であったBlD-12株を最優良菌株とした。同菌株は S. cerevisiae であると同定され,従来の焼酎用酵母よりも耐塩性およびアルコール耐性が高いことが示唆された。高耐塩性は海水域由来株の指標の1つになりうると考えられる。また, 2次膠の最高晶温35℃前後の条件下おいても醸酵は順調に推移し,BlD-12株は高温耐性株であることが確認された。さらに,実地規模での芋焼酎仕込み試験で従来の酵母よりも良好な醸酵経過を示したことから,ソバ等に代表される他の穀類原料においても実用化が期待できる。