市販の清酒 (通常製品 (古酒あるいは長期貯蔵酒の表示のないもの)) 125点, 清酒 (古酒 (蔵元にて3年以上貯蔵された長期貯蔵酒)) 32点, 合成清酒4点, 焼酎19点の合計180点を対象に, 発がん性が疑われているカルバミン酸エチル (EC) の含有量調査を行った。清酒 (通常製品) は平均47μg/kg, 最大210μg/kg, 清酒 (古酒) では, 平均183μg/kg, 最大1100μg/kg含まれていた。合成清酒ではいずれも定量限界 (20μg/kg) 未満であり, 焼酎では19点中15点が定量限界 (20μg/kg) 未満であり, 最大37μg/kg含まれていた。清酒 (古酒) では, EC含有量は着色度及び紫外部吸収との間で高い正の相関がみられた。 現時点ではECの安全性評価が国際的にはっきりと定められているわけではない。今後も国際機関の動向には注意を払う必要があるとともに, 酒類中のECの生成を抑えるよう引き続き配慮して行く必要があると思われる。