シー汁浸漬液中から4株のα-アミラーゼ生産菌の分離及び同定を行ない, 菌の生産するα-アミラーゼを精製しその諸性質を明らかにし, シー汁浸漬における役割について検討した。 (1) シー汁浸漬液中からα-アミラーゼ高生産菌を分離同定した結果, 3株については. Branhamella 属, Neiseria 属であることが認められ, 1株は Bacillus subtilis と同定した。 (2) 分離菌 Bacillus subtilis C-1の生産するα-アミラーゼの精製を行った。その結果, 本酵素の分子量は60KDa, 単量体, 至適温度40℃, 温度安定性は40℃以下, 至適pHは7.0, pH安定性はpH5.0-6.0で安定であった。 (3) 本酵素はタイ米に高い酵素活性を示し, さらに生の米デンプンにも作用する事が明らかになった。 (4) 本酵素はCa2+によって活性が増加し, PCMBに影響を受けず, EDTAによって阻害を受けた。 以上より, 本菌株及びその生産するα-アミラーゼは, 地下水に含まれるCa2+により安定した生デンプン分解活性を維持し, 原料米に作用することが示唆された。