近年, 焼酎ブームに伴いその蒸留廃液の処理に苦慮しているのが現状だ。一方, 沖縄の泡盛もその蒸留廃液が問題になり, 知恵を搾って糖分等などを添加し口当たりの良い「もろみ酢」なる健康飲料を開発し, 広く消費されている。 筆者らは, 醸造廃液に蒸煮固形物を添加し再醗酵させ焼酎を作る新しい方法「返し仕込み」を開発し, 残った廃液を利用して焼酎食酢を作るという方法を開発した。ここでは, 焼酎粕の持つ優れた機能性を損なわずに腐敗しにくい食品へ素早く変換する醸造酢製造法を確立した。製造した醸造酢の生理活性については, in vitroの系で (試験管) 抗ラジカル活性, ACE阻害活性を有し, in vivoの系では (生体内) 抗腫瘍活性も認められている。資源再利用と廃液処理とを同時に行う興味ある研究である。