(1) 農産廃棄物の加水分解を目的とした試料の前処理法として, 電解前処理法を開発した。本法では, 半透膜を介して向かい合う2つの処理槽からなる装置を使用し, カソード (陰極槽) に試料を投入して30Vで24h電解処理を行った後, 両槽の液を混合することで, 廃液を生じない処理が可能である。 (2) 電解前処理の効果は農産廃棄物の種類によって異なった。電解前処理により, 加水分解反応が最も促進されたのはビートパルプであり, 小麦ふすまや脱脂糠においても前処理効果が認められたが, 脱脂大豆では効果は認められなかった。 (3) ビートパルプに対する電解前処理の効果は, (1) 試料の膨潤と微粒子化, および (2) 試料中の潜在糖の部分的可溶化とそれに伴う可溶性多糖の溶出であり, それらは主として電極反応で生成するアルカリイオン水によるものであった。 (4) 電解前処理により, ビートパルプ中の潜在糖であるセルロース, ヘミセルロースおよびペクチンの分解性が向上した。