マウスのD-ガラクトサミン誘発肝障害における酒粕投与の影響について検討を行った。カゼイン食に酒粕を10%添加し, マウスに2週間, 混餌投与した。その後, 肝障害を誘発させるためにD-ガラクトサミンを腹腔内投与 (1200mg/kg) し, 24時間後に採血を行った。肝障害の指標として血漿中のGPT及びGOTの値を調べたところ, D-ガラクトサミン投与による血漿GPT, GOTの上昇が酒粕投与によって有意に減少することが明らかとなった。また, D-ガラクトサミン投与で誘導されるDNA断片化が酒粕投与によって減少しており, 細胞死の抑制が示された。以上より, 酒粕投与がD-ガラクトサミン誘発肝障害を抑制することが示唆された。酒粕投与後, 肝臓のSAM含量が増加しており, 酒粕が肝臓のメチオニン代謝を強化することによって肝障害抑制に関与する可能性がある。