1. 米麹の代替として市販の酵素剤を用いて醸造した生酒の品質および冷蔵貯蔵中における品質変化を調べた。なお, 酵素剤としてIAAOD活性が認められないものを使用した。 2. 3℃, 6ヶ月間の貯蔵試験の結果, i-Valは, 貯蔵中直線的に増加したが, 酵素剤の使用量が増えるほどその増加は抑制された。 3. 官能評価の結果, 香り, 味, 総合評価のすべてで, 貯蔵前の生酒の各試験区間に有意差は認められなかった。貯蔵6ヶ月後の官能評価値は, すべての評価項目で, 酵素剤を用いた場合に無使用の場合と比べて有意に小さい値を示した。 4. 以上の結果から, 米麹の代替としてIAAOD活性が認められない酵素剤を使用することにより, 生酒の貯蔵中におけるi-Valの生成を抑制し, 長期間にわたって品質を保持し得ることが明らかとなった。