酒類中のカルバミン酸エチルを簡易に分析する方法について検討し, 内部標準をカルバミン酸ブチルとし, 試料を水で希釈せずに固相抽出を行い, 分 析機器を高感度のGC/MSとして濃縮倍率を小さくすることとした。酒類に内部標準としてカルバミン酸ブチルを加え, エキストレルートカラムに保持させた後, ヘキサン: 酢酸エチル=1: 1混合溶液で溶出し, ロータリーエバボレータ又は窒素ガス吹きつけによる濃縮装置により濃縮した。濃縮した試料はDB-WAXカラムを装着したGC/MSをSIMモードとして分析を行った。この分析法の検出限界は2.5μg/l, 定量限界は7.5μg/l, 100μg/l添加における変動係数は4.8%であった。この分析方法を紹興酒及び梅酒に応用すること試みた。清酒と同様の方法を用いて分析を行ったところ, 良好な結果となったため, この分析方法は紹興酒及び梅酒に適用できると考えられた。これまでに示した試料の抽出・濃縮方法を応用し, 20倍濃縮とした試料をFID-GCにより分析することにより, おおよそのカルバミン酸エチル含有量が推定できるものと考えられた。