近年, 食品の偽装表示が後を絶たなく, 輸入品を高価な日本産, 特に地域ブランドへの偽装が大きな問題となっている。機能性から味噌, 醤油に使用される高価な黒大豆の中でも特に高価な「丹波黒」は, 最近では日本国内から持ち出された種子が, 中国で栽培され日本に輸入されており, 外見では日本産と判別がつきにくい。そこで, 理化学検査である誘導結合プラズマ発光分析法及び誘導結合プラズマ質量分析法により測定した無機元素組成を線形判別等の統計的手法で解析することにより, 産地判別が可能であることの解説をしていただいた。この産地判別技術は, 一定の誤判別は免れないが, 多くの店舗や業者に対する膨大な書類調査を産地表示に疑義のある対象のみに絞り込むことができるので, 効率的に調査ができ, 産地偽装の抑止力としての効果も期待できる。