無洗米の酒造適性を調べる目的で, 一般米の「中生新千本」および酒造好適米の「千本錦」,「八反錦」を無洗米化処理し, それぞれの無洗米と未処理の白米を比較検討した。 1. 外観検査の結果, 一般米, 酒造好適米のいずれも, 精米歩合40%以上の白米で無洗米化が可能であることが明らかとなった。 2. 酒造適性試験の結果, 無洗米は未処理の白米と比較して吸水速度, 吸水率ともに僅かに小さかった。一方, 無洗米化は消化性に大きな影響を与えなかった。 3. 製麹試験の結果, 無洗米は未処理の白米と比較して, 酵素活性および菌体量に大きな差は認められないものの, 品種や精米歩合により差異は生じた。 4. 小仕込試験の結果, 無洗米は未処理の白米と比較して, 僅かにアミノ酸度が高くなった。また, 無洗米化によるいくつかの有機酸の僅かな増加が認められた〇これは, 消化性では判別不可能な僅かな性状変化が, 酵母の発酵等に影響したためと考えられる。 以上の結果より, 無洗米化は製成酒のアミノ酸度および有機酸の増加などに若干の影響を与えるものの, 一般米と同様に高精白の酒造好適米についても, 無洗米化が可能であることが明らかとなった。