現在, 日本の酒類業界では第3のビールと呼ばれる発泡性飲料とチューハイ類の新製品が市場を賑わしている。これらのジャンルの開発は正にメーカーの知恵の勝負で, 多岐に渡る素材が集められ, 使われている。サイダーも日本ではフランス風にシードルと言う名称で商品化されているが, その販売数量は極小さい。 一方, 英国では伝統的なサイダーが, ビールと共に国酒とも言える存在として脈々と飲まれ続けている。近年リンゴの健康に対するメリットが次々と明らかにされていることも考え合わせれば, 英国サイダーの現状について詳述されたこの総説は, 単にサイダーの紹介というだけでなく伝統的な酒類の生き残り戦略に多くの示唆を与えてくれる。