焼酎粕および大豆煮汁から製造した醸造酢に含まれるアポトーシス誘導物質であるトリプトフォールは, トリプトファンを原料として酵母が合成する醸造物質であることが報告されている。本研究では, 発酵試験を行いトリプトフォールがトリプトファンの二次代謝産物であることを確認した。さらに, トリプトフォールは市販の酒粕には多量に含まれていたが清酒中の濃度は低く, トリプトフォールは清酒の製造過程において酒粕中に移行すると考えられた。本研究により, トリプトフォールは伝統的なエタノール発酵醸造製品が抗腫瘍活性を有すると報告されていることの一つの根拠となる可能性を示した。