1. 単式蒸留機によるエタノール水溶液の蒸留において, 留出液を蒸留缶液中に注入しつつ循環蒸留を行い, 定常状態に達してからエタノールについての理論段数を測定した。本法においては, 外気温度, 缶液濃渡, 留出速度等を一定として測定した理論段数により, 単式蒸留機の精留機能が評価できると推察された。 2. 単式蒸留機の理論段数は留出速度が小さいほど大きくなった。留出速度が小さい時, 理論段数は2.0以上となることもあったが, 3.0未満であった。 3. 単式蒸留機では留出速度が小さい時, 塔頂部の蒸気流が不安定となり, 安定した蒸留ができなくなるが, 還流を行うことにより, 留出速度が小さく理論段数の大きい状態で, 安定して蒸留することができた。 4. 酢酸500ppmを含有する1.0vol%エタノール水溶液を蒸留する時, エタノールに関する理論段数が高いほど留出液の酸度が低下することを確認した。 5. 単式蒸留機の理論段数は蒸留機内での分縮に大きく影響された。したがって, 単式蒸留機の塔の部分を分縮器型とし, 分縮量を制御することにより理論段数が制御できることを確認した。