(1) 製麹における麹菌のタンパク質分解酵素の生産に及ぼす麹菌株と麹米の影響を2元配置の分散分析法により解析した。その結果, 両要因の影響はとも危険率0.1%の高水準で有意であった。 (2) 麹菌株による麹のタンパク質分解酵素活性と窒素源としてアミノ酸を使用したツァペック培地上での麹菌の増殖におけるアミノ酸資化量との問には高い正の相関関係が認められた。 (3) 麹米によるタンパク質分解酵素活性の違いは麹米のタンパク質組成の違いに起因する可能性が高いことを示した。麹のタンパク質分解酵素活性と麹米のタンパク質組成との相関分析の結果, グルテリン含有量と負の相関, グロブリンとプロラミンとは正の相関が認められた。 (4) 清酒製造において適当量のグルコアミラーゼ活性を有し, 総合ペプチダーゼ活性が少ない麹菌株が麹米毎に存在することを知った。