(1) K 9系酵母使用の清酒もろみから親株より2-3倍のリンゴ酸生産性を示す9株を取得した。アルコールの生成, ボーメの切れは親株と同等であり, 9株ともに親株よりリンゴ酸を2-3倍生産し, 酢酸の生産量は半分以下である。 (2) K 901使用のもろみからは, 高頻度でリンゴ酸高生産株が得られた。 (3) 得られたリンゴ酸高生産株について, シクロヘキシミドへの耐性及びジメチルコハク酸への耐性, またマルトース資化性及びグリセロール資化性を調べた結果, 既に報告されている菌株と異なる性質を持っていると考えられる。 (4) 分離したリンゴ酸高生産株すべてが親株より酢酸生産量が低下していることから, 分離したリンゴ酸高生産株では酢酸から生成したアセチル-CoAとグリオキシル酸からリンゴ酸を生成する経路が活性化されるような変異がおきているため, リンゴ酸高生産性を獲得したのではないかと推察される。