野菜の香りや味は, 子供の頃に比べて, ずいぶん淡く特徴がなくなった。例えば, にんじんはずんぐりとして色も香りもうすい5寸にんじんばかりになり, にんじんが嫌いという子供も少ないらしい。しかし, その方が売れるからと信じて野菜の改良や栽培に努力をしてきたにもかかわらず, 現在若年層を中心に野菜離れが顕著になっている。 本稿では官能評価から野菜のおいしさを考え, 一方向からのみおいしさを求めて良いのかと警鐘を鳴らしている。対立する視点を持つ消費者の存在, 用途と品質の違いを尊重することなど, 野菜以外の酒類やその他の食品開発にも大変参考になることと思う。