食品保存の目的でアルコールの利用研究がはじまったのは昭和40年代であるが, 醤油の本来成分であるアルコールの抗菌作用が確認された意義は大きく, 現在では合成保存料を添加した醤油は殆んど見られなくなった。アルコールは, 共存する他の抗菌性成分と相加的に作用するため, 醤油の食塩, 窒素濃度, pH特性により通常の醤油では2~2.5%の低濃度アルコールで保存の目的が達成される。醤油醸造における旺盛なアルコール発酵は, 品質の向上や経済面からも有益である。本稿では, これらの研究史を紹介していただいた。