製成酒の尿素量の生成について明らかにする目的で, 麹仕込みと酵素剤仕込みについて, また, 醪の品温経過を9-18℃ の間に4段階の仕込区分を設けて小仕込みを行い, 試験検討を行った。その結果は次の通り。 (1)麹仕込区分と酵素剤仕込区分とでは, 酵素活性を同一レベルに合わせて仕込みを行った。醪の発酵は, 麹仕込区分の方が早かったが, 尿素の生成は酵素剤仕込区分の方が早く, 製成酒中の尿素も麹仕込区分の1.5-2倍と多くなった。 (2)醪品温経過の高低では, 品温経過の高い区分から低い区分の順に, 醪中での尿素生成量も高い経過を示すが, 醪末期や製成酒では, どの品温区分もほぼ同様な尿素量になった。 (3)製成酒の一般成分は, 醪の品温経過の高いほど, 酸度,アミノ酸度,紫外部吸収値が高い傾向を示し, 麹仕込区分及び酵素剤仕込区分とも同様な傾向であった。終りに臨み,本研究に終始ご指導を賜りました幣社常務取締役総合研究所長布川弥太郎博士に深く感謝致します。