プロトプラスト融合により, 高温において, 芳香性かつ, アルコール耐性を有する, 高温発酵性焼謝酵母の育種を行った。 1. 焼酎膠から分離した高温発酵性酵母のNo.26からアルコール耐性株26ETを分離した。26ETは親株26と比較し, エタノール存在下での増殖, または40℃でのエタノール生成能が優れていた。また, 2倍体のホモタリズム株だった。 2. 26ETの子のうへの変異処理により, 栄養要求変異株を取得し, その中から, 26ETadビを融合に用いるため, 高温発酵性かつアルコール耐性株として選択した。一方, 芳香性を有する酵母として協会清酒酵母7号, または9号からの栄養要求株, K-7 lys-とK-9lys-を使用した。 3. 26ETとK-7またはK-9の栄養要求株を用い, それぞれの組み合わせでプロトプラスト融合を行い, 4倍体融合株であるF-1, F-2を造成した。融合株は, 高温において, アルコール耐性, または, エタノール生成能が優れており, 両親株の中間の性質を示した。 4. 融合株による35℃一定の米焼酎の小仕込試験の結果, 融合株は焼酎酵母H-2に比べ発酵速度が速く, エタノール生成能が高く, 高温発酵性の特徴を示した。 5.減圧蒸留後の官能試験の結果, 融合株F-1 (26×K-7) は, 果実様などの芳香を持ち, 香気の改善が認められた。 6. 造成した4倍体融合株のF-1は, 焼酎酵母H-2と比べ, 高温発酵性であり, 高温発酵性酵母26由来の特異臭の改善が認められたことから, 目的とする融合株が取得されたと考えられる。