前報で報告した長期間(12ヵ月)貯蔵した乾燥麹は, 清酒製造でどのような点が問題になるのかを明らかにするため小仕込試験を行い, 製造及び酒質について調査した。その結果, 次の知見を得た。 1. 乾燥麹の水分含量10%以下に調整し, 貯蔵温度15℃以下なら, およそ1年間貯蔵しても, 醪の溶解製成酒の一般成分及び官能評価の面で, 対照麹 (貯蔵前のものを冷凍貯蔵) と比較しほとんど遜色のない清酒が製成できた。 2. 貯蔵温度が30℃の場合は, 乾燥麹の水分含量を10%以下に調整したものでも, 長期間貯蔵になると, 酵素活性の低下に対応し, 醪の溶解や製成酒の成分への影響が見られ, 色の濃い製成酒になる傾向が認められた。従って, 貯蔵温度が30℃では, 貯蔵期間6ヵ月以内になるよう貯蔵面の配慮を行う必要があるものと考えられた。 終りに臨み, 終始ご指導を賜りました, 弊社常務取締役総合研究所長布川弥太郎博士に, 深く感謝致します。