昭和62年度の醤油・味噌の研究業績をみると, 品質向上に関するものなどの研究数の低下が認められる。しかし, ニューバイオテクノロジーによる醤油・味噌醸造へのアプローチが積極的になされるとともに, 原料処理におけるエクストルーダーの使用の試みなど新技術の利用への努力がなされ, 新時代へのトレンドがうかがえる。醸造食品である醤油・味噌のバイオリアクターなどの利用による製造, いわゆる, バイオ食品製造への動きが次第に活発になってくるであろうが, 消費者不在の研究や製造をさけるためにも生産者, 消費者双方の立場からの十分な検討が必要と考えられ, このような観点から62年度は研究の重要な過渡期であったといえよう。