NP14と協会901号とのプロトプラスト融合および融合株から胞子を分離することにより, マルトース資化能を保持したまま, 凝集性が除かれ, 香気の優れた株にNP14を改良することを試みた。 (1) NP14と協会901号のプロトプラスト融合により, 生育の良い6株の非栄養要求性株を分離した。 (2) DNA含量および胞子分離により融合が確認された。 (3) 融合株のマルトース資化能はNP、4とほぼ同等であったが, 凝集性の改善はできなかった。 (4) 融合株のうちの1株NK9-5から胞子分離株を取得し, これらの中より目的株NK9-5-20Cを育種した。 (5) 胞子分離株の中には, EIA比の高い株NK9-5-4Bが存在した。EIA比の上昇要因としては, イソアミルアルコール生成能が低下したこととともに, Alcoholacetyltransferase活性が上がったことが考えられた。 本報告の概要は昭和62年度日本農芸化学会大会 (東京) および昭和62年度日本醗酵工学会大会 (大阪) にて発表した。 終りにあたり, 適切な御助言をいただきました国税庁醸造試験所の高橋康次郎先生および後藤邦康先生に感謝いたします。