泡なし酵母を分離するため, 泡盛1号酵母から大内らの考案したFroth Flotation法により酵母を分離し, 小仕込試験の結果, 高泡形成能がないため泡なし変異株が分離されたものと確認した。また, 分離した泡なし酵母と泡盛1号酵母の性質を調べた結果TTC染色, 発酵能, 糖の発酵性及び低沸点成分は同様な性質を示した。もろみ成分変化では, 泡なし酵母は泡盛1号に比べもろみ初期における炭酸ガス発生量が多く, また, もろみ品温上昇及びアノレコール生成が速いことがわかった。 以上の実験結果より泡盛製造場において泡なし酵母の実用化が可能であると確認した。また, A製造場において泡なし酵母を使用したものと, 前年同月 (昭62, 4月, 5月, 6月) の泡盛1号酵母使用3カ月間のアルコール収得量を比較した。泡なし酵母は, 白米トン当たりのアルコール収得量平均で10l増加した。これは, もろみ初期において泡なし酵母は, 立ち上がりが速くアルコール生成が速いため, 雑菌汚染の割合が低くなるためと考えられる。 なお, 現在泡盛製造場の約8割で泡なし酵母が使用されている。 終わりに本実験にご指導くださいました国税庁醸造試験所佐無田主任研究員に深謝いたします。