味噌熟成中に起こる最も重要な成分変化は主として大豆に由来する蛋白質の変化といってもよいであろう。それは味噌に特有の呈味, 色調, 物性などに決定的な影響を及ぼすからである。そして, この蛋白質を適正に分解させるために, 大豆の原料処理, 特に蒸熟処理, 使用する麹の関連酵素の種類とそれぞれの力価, 塩分, 水分などを含む基質の条件および発酵温度などが検討されねばならない。本稿では, これらの問題の中で味噌用大豆処理を中心に最新の研究結果を基に解説していただいた。