掛米の代わりに清酒粕を用いた酒母による小仕込試験を行い, 酒母及び膠の発酵状況, 製成酒の成分, 官能審査などを行った結果, 次の知見を得た。 1. 清酒粕を酒母掛米の代わりに用いた場合120%の汲水では十分に溶けず, 発酵の進行が見られなかったので, 汲水歩合を200%に高め希薄酒母とした結果, 順調な酵母の増殖がみられた。 2. 清酒粕を原料とした酒母を用いた膠の発酵過程は順調で, 対照を上回る程であった。 3. 製成酒のアミノ酸度, 着色度が対照に比べ大きくなり, 官能審査でも濃い, 雑味などの指摘が目だった。 4. 炭素処理や加水などの処理により低アルコール酒などに利用できる可能性がある。