1. 清酒酵母より分離したβ-(2-チエニル) アラニン (THA) 耐性変異株は, 小仕込試験でβ-フェネチルアルコールおよび酢酸β-フェネチルを親株の4倍程度生成し, p -フルオロフェニルアラニン ( p -FPA) 耐性株とは異なりチロソールも高生産した。これらの株は, 香味において特徴を有する清酒を醸造するうえで使用が期待された。 2. p -FPA耐性株は, 培地中へのチロシン添加によりβ-フェネチルアルコール生成能の低下がみられたが, THA耐性株ではみられなかった。チロソール生成能, トリプトフォール生成能ならびにチロシン添加の影響の違いにより, THA耐性株は p -FPA耐性株とは異なる変異点を有すると考えられた。 終わりにあたり, β-フェネチルアルコール分析法等において適切な御助言をいしだきました東京国税局鑑定官室, 秋田修氏に感謝いたします。