協会7号清酒酵母と協会10号清酒酵母のアデニン要求性株とをプロトプラスト融合し,低アルコール清酒製造用酵母を造成し,その醸造特性並びに低アルコール清酒小仕込試験について検討した。その結果, (1)細胞サイズ,核DNA含量,パルスフイールドゲル電気泳動による染色体バンドパターンの結果より,目的とする融合株を4株得た。(2)融合株の生育速度及び発酵能は両親株の中間の性質であった。(3)融合株のAATFase活性は,親株に比べ2~3倍上昇した。(4)小仕込試験の結果,融合株は発酵が緩やかであり,製成酒は特にアミノ酸度が高くなった。官能的にも協会7号株の味の薄さの欠点を改善する結果であった。 本報告の一部は,平成2年度日本醗酵工学会大会(大阪市)で発表した。 本研究を遂行するにあたり御助言いただきました岡山大学薬学部小野文一郎助教授,篠田純男教授並びに東京大学理学部東江昭夫教授に深謝致します。