1. 平成2年度鹿児島県産ダイセンゴールドを用い, 精麦歩合が異なる精麦の形状観察, MG染色, 電子顕微鏡観察を行った。外皮を除去した大麦は数層の種皮と1~3層の糊粉層が見られた。60%精麦程度で糊粉層はほとんど除去され, 表面に胚乳細胞が露出していた。 2. 粗たんぱくは玄麦の外層部にその35%が存在し, 粗脂肪は糊粉層に多く, その40%が存在していることがわかった。 3. 大麦加水分解物の糖組成を検討し, グルコース以外にキシロース, アラビノースおよび微量のマルトース, ガラクトースの存在が確認された。玄麦中の糖組成はグルコース86%, キシロース8%, アラビノース6%で搗精が進むに従って, キシロース, アラビノースは減少し, グルコースは増加していた。45.1%精度でもキシロース, アラビノースはともに約1%含まれ, 清酒原料米とは明らかな違いが認められた。 4. 全脂肪酸量は玄麦中で0.43%で搗精により減少した。脂肪酸組成はリノール酸55%, パルミチン酸30%, オレイン酸1%で搗精により不飽和脂肪酸の割合は減少し, パルミチン酸は増加していた。 5. 15℃における吸水性の経時変化を調べた。吸水速度は精麦歩合が低いぼど速く, 35%吸水に達する時間は精麦歩合によっては45分以上の違いが見られた。 最後に, 本研究遂行にあたりご指導いただきました三和酒類株式会社和田昇代表取締役研究所長に感謝致します。また大麦加水分解物の糖分析方法について, ご指導いただきました大分工業試験場化学部の古江国昭氏, 樋田宣英氏に感謝致します。