市販梅酒を原料にして, 固定化酵母を30%充填した3段式ソロバン型バイオリアクターを使い発酵梅酒を生産した。使用酵母は本センターが糖抽出梅果汁から分離した酵母P-1を用いた。 1.基質としては, 市販梅酒を1.5, 2倍に希釈したものを用いた。 2.梅酒の香味は, 温度による影響が小さいため, 発酵温度25℃で香味の優れた発酵梅酒を効率よく生産することができた。 3.基質が2倍希釈の場合, 空間速度0.13hr-1でアルコール11%の発酵梅酒を30日間安定に生産することができた。基質が1.5倍希釈の場合, アルコール13%の発酵梅酒を生産するために空間速度0.044hr-1で運転したところ, 25日目頃からアルコール生産性が低下した。これは, 基質が高酸度, 高アルコールのために酵母がダメージを受け, 固定化酵母内の生菌数が減少したためと考察された。 4.生成した発酵梅酒中には, クエン酸, リンゴ酸, 酢酸, コハク酸, 乳酸等の有機酸および酢酸イソブチル, イソアミルアルコール, 酢酸エチル等の香気成分が存在し, 従来の市販梅酒に比べ酒質のまろやかなワイン的な梅酒を造ることができた。