1. 清酒酵母協会9号, 10号由来のアルギナーゼ欠損変異株 ( car 1 変異株) はウレアを生成しない。このウレア非生産性清酒酵母を用いた実地醸造試験を全国の延べ21場の製造場で実施した。 2. この変異株を使用することにより, ウレアを含まない清酒の製造が可能であった。対照酒が約100ppbのECAを生成する加熱条件処理によってもウレアを含まない清酒からはECAは検出されなかった。 3. ウレア非生産性清酒酵母による醪の発酵経過, 生成酒の一般成分, きき酒結果等, 親株と大きく変わった点は認められなかった。 4. 醪末期に切れが鈍るという指摘が3株ともあったことから, アルギナーゼ自身が醪末期では必要とされる場合があることが推定された。しかし, 通常の仕込方法では, 十分に良好な清酒が得られることが明らかとなった。