醤油醸造用有用酵母を得るため, 醤油酵母と清酒酵母 (協会7号) あるいはワイン酵母 (OC-2) 間のプロトプラスト融合を行った。融合株の形質はおおよそ, 一方の親株である醤油酵母に偏る傾向にあったが, 2, 3の融合株については醤油酵母に比べ増殖速度において優れており, また同等の耐塩性を有していた。融合株WR-41は良好な増殖速度を示した。融合株の香気成分も全般的に醤油酵母に類似していたが, 融合株KR-15, WR-41等ではやや差異が認められた。ただ, 醤油中ではこれらの融合株も香気に有意な差異は認められなかった。融合株のDNA含量は親株である醤油酵母の約1.5~2倍を示した。継代培養を経た融合株は安定な2倍体になっていることが推察された。醤油醸造試験では, 融合株は醤油酵母よりエタノールを多く生成し, 有用株としての特性が示唆された。