醤油酵母R-1株とワイン酵母OC-2株のプロトプラスト融合によって得た雑種WR-55株をアルギン酸カルシウムゲルに包括固定化し, バイオリアクターによる連続発酵を試みた。WR-55株は醤油酵母R-1株に比べ, 30℃, 3日間の固定化後の増殖においてビーズ内で約10倍の菌体密度を示した。30日間の連続運転により得られたリアクター処理液は原料臭が消え, 味・香り共に醤油様発酵調味液としての品質要件を備えていた。またWR-55株は30日間の連続運転で, 醤油酵母R-1株より約35%多くアルコールを生成し, WR-55株の固定化酵母としての有利性が示唆された。一方強度的に限界のあるアルギン酸カルシウムゲルは発酵期間中, 崩壊が起こり, またビーズからの菌体の漏洩が認められた。また, WR-55株は発酵期間中の活性の低下が醤油酵母R-1株より著しく, またビーズ内の菌数も顕著な減少がみられた。なお, これらのリアクター処理において, いずれも不溶性の沈着物がリアクター内に増加し, 通気と通液を阻害しがちであった。 終わりにあたり, 本研究に懇切な御指導, 御助言をただいた宮崎大学農学部小川喜八郎先生ならびに元宮崎県工業試験場々長日高輝夫氏に心より感謝申し上げます。