酵母細胞は適当な栄養条件下では出芽増殖を続け, 栄養源が枯渇すると増殖を停止しG1/G0期に留まるか, あるいは減数分裂へ向かう。このように一見すると単純な制御も, その分子機構の解明に踏み込んでみると, 多数の遺伝子が相互に関連し合う膨大なネットワークが係わることが明らかになってきた。このようなネットワークの一つであるRAS-cAMP経路は複数の, しかも, 特定のタンパク質のリン酸化レベルを制御することにより。栄養源のシグナルを細胞内の増殖制御機構に伝える主要な伝達経路となっている。