1. 酒造好適米11品種15点, 一般米13品種15点の原料米を用い, 製麹試験を行った。酒造好適米は一般米に比べ平均値では高いGAase活性を示したが, 品種間で変動が大きく, 個々の品種の製麹適性には大きな違いが見られた。一般米は酒造好適米の平均値に比べ活性の低い品種が多くなった。 2. 製麹に及ぼす原料米諸性質の影響について検討した結果, 吸水性, 白米カリウム含量, 米の硬軟が影響していた。 3. 山田錦, 五百万石, 日本晴を用い, 白米水分を11.5%, 12.5%, 13。5%に調湿し, 製麹試験を行った。白米水分が酵素生産に与える影響は, 原料米品種により異なり, 五百万石はいずれの水分においても, 製麹適性に優れていたが, 影響の大きい山田錦, 日本晴では, 白米水分を13.5%に調湿することで, 酵素活性が増加し, 製麹適性が向上した。 4. 酒造好適米の心白は初期の吸水に大きく影響し, 多孔性の構造であると考えられた。また, 酒造好適米の無白粒は, 一般米に比べ蒸米弾性率に差が見られ, 米粒内部の組織が異なることが示唆された。