1. R. oryzae IFO 4716で調製した麹のみりんへの適性を評価したところ, グリセリン生産能の向上とカルバミド生成能を低下させることが必要であると考えられた。 2. そこで, まずグリセリン生産能の高い変異株を誘導し親株の約1.9倍のグリセリン (約12%w/w) を蓄積する菌株を得た。 3. 次いでこの変異株の変異誘導によって, グリセリン生産能が約11%(w/w) と高く, カルバミドの生成が親株の約7%に低下 (17.2PPm) し, ACPase活性が, 親株の2倍に向上した多重変異株 ( Roryzae LC) を取得した。 4. この Roryzae LC麹を用いたみりんの収率は, α-アミラーゼ酵素を添加することによって, A. omyzae麹を用いる場合とほぼ同じにすることができた。 5. このみりん中には, 1%以上のグリセリンが含まれ, リンゴ酸とクエン酸に富んだ品質の優れたものであった。 6. R. oryzae LC麹を用いたみりん中のカルバミド含量は, 親株麹のみりんに比べて顕著に減少し, 1.5ppm以下になった。