1. 12種類の種もやしを使用し, 原料米3品種の白米 (福井県産五百万石, 滋賀県産日本晴, 福岡県産ツクシホマレ) で製麹試験を行った。五百万石に比べ, 日本晴ツクシホマレの一般米では酵素活性, グルコアミラーゼ/酸性カルボキシペプチダーゼの活性比が低くなった。しかし, 種もやしの種類によって差が見られ, 種もやしを選択することにより, 一般米でもある程度良好な麹が得られると考えられた。 2. 種もやしの種類, 白米品種によって破精込みに違いが見られた。これらの麹では菌体量には大きな違いが見られないが, 酵素活性には差が見られ, 破精込みの違いが酵素活性, 酵素バランスに影響していることを示唆した。また, 麹の色彩にも差が見られ, 種もやしの種類が官能的な麹の品質に影響した。 3. 種もやしの種類によって, 麹粗脂肪含量および脂肪酸組成に違いが見られ, アミノ酸組成にも違いが見られた。これらの違いは製成酒の香気エステル生成あるいは製成酒の呈味に影響を与えることが予想された。