納豆は我々にとって大変身近な発酵食品であり, 類似の大豆発酵食品は東アジア地域に広く分布している。納豆製造に用いる納豆菌 [ Bacillus subtilis (natto) ] は分類学上枯草菌に属する。枯草菌は大腸菌についで良く用いられている実験用の細菌で, 詳細な遺伝子解析も進んでいる。 しかしながら, 実用に供される納豆菌の遺伝子解析については遅れており, 納豆の粘性物質であるポリグルタミン酸生成酵素やその遺伝子の存在位置についても完全には解明されていなかった。筆者らは, 納豆菌に感染し形質導入も可能なファージを見いだし, 納豆菌の形質転換系の構築を可能とした。 今回はポリグルタミン酸生成酵素やその遺伝子のクローニングを目指した研究を中心に, 納豆菌の最新の遺伝子解析技術を紹介していただいた。