清酒もろみは酵母の増殖に最適な温度範囲より低い温度に制御される。特に微妙なバランスの香味の生成が要求される吟醸もろみでは, 10℃ 以下の低温に保つことが必要とされている。このような低温環境で清酒酵母が増殖し発酵を継続できるのは, どのような遺伝的要因を備えているからなのか。 低温清酒酵母の育種という研究を通じて, この課題の解明の糸口が見いだされつつある。