黒糖の集積培養液から分離された5-15株は, isobutyl alcohol生成能が低く, 従って, A/B比が大きい値となる香気特性を有し, 高糖濃度培地での発酵能も強い。アルギニンを窒素源に用いた培地中で18~20℃の低温発酵にもかかわらず, isobutyl alcoholの生成量が低い値を示した。本結果により, ワインもろみ中でもisobutylalcoholの生成能が低いと考えられ, 馴養法により亜硫酸耐性株5-15GS株を獲得し, 市販ブドウ果汁およびマスカットベリーAを用いた赤ワインの小仕込試験を行ったところ, 製品はisobutyl alcohol濃度が低く, 従って, A/B比が大きい値となった。 本菌株は, ワイン酵母として適性を有するものであろう。