酒の香りのうち酵母がつくる酢酸エステルはフルーティーな香りとして重要視されて, その生成機構に関しての研究が各方面でなされている。筆者はその生成酵素であるアルコールアセチルトランスフェラーゼ (AATase) の遺伝子を清酒酵母から1種, 下面ビール酵母からは2種クローニングした。また酵母が複数のAATase活性を有し, 酢酸イソアミルと酢酸エチル生成には別個の酵素が関与していること, 従来不飽和脂肪酸が酵素の活性を阻害すると考えられていたが, 本酵素遺伝子のmRNAが抑制されることにより, 酸素活性が減少することを明らかにした。