従来は形態学的性状と生理・生化学的性状を組み合わせてきた酵母の分類は環境に応じて発現する遺伝子 (群) の表現型を比較し, 同じ遺伝子情報を持つグループにまとまりを与えていた。ところが, 単純な突然変異による表現形質 (糖の発酵性など) は容易に変化する場合が多い。そこで, ゲノムあるいはDNAの解析により, 系統分類という共通の論点を提供できる。ここでは間接的な表現形質ではなく直接的なDNA解析による, ゲノムの遺伝情報 (塩基配列) を推定するいくつかの手法を解説していただいた。