香りの高いソフト清酒の開発を目的として, 高香気生成能と適度の生酸性を有する変異株を選択し, それを用いた製造法を検討した。 県内酒造場から分離した酵母に変異処理して得られたカナバニン耐性株から, 協会9号酵母に比較して酢酸イソアミル及びカプロン酸エチルの生成量が多く, かつ, 適度に酸を生成する株としてYK-0107, YK-2911の2株が得られた。 仕込方法は, 麹歩合20%, 汲水歩合140%で最初, 酒母及び麹全量と水を添加し, 1日踊をとった後蒸米を添加する変則二段仕込みが香気生成や酸の生成, さらには醸造の安全性で優れていた。 香りの高い爽快なソフト清酒を製造するには, 一般米よりは酒造好適米が, また, 精米歩合も50%程度と低い方が望ましいと考えられた。