年齢, 経験, 男女の性など異なる3つのパネルグループにより清酒の官能評価を行い, それぞれのきき酒データを主成分分析法とニューラル・ネットワークを用いて解析した。また, 清酒カテゴリーのきき当て試験によりきき酒による感性情報の想起と記憶に関する特性を調べた。 1) 主成成分分析による第1主成分はパネルグループ間にほぼ共通し, 熟成による香味の変化を基準とするものであった。 2) ニューラル・ネットワークにより各カテゴリーの特微抽出とパネルグループ間の違いを調べた結果, 若年の女性ときき酒エキスパート間の評価の違いが最も大きかった。 3) カテゴリーのきき当て試験の結果によれば, カテゴリーの判別に関する感性情報の蓄積は経験と年齢により違いが認められた。 4) きき酒による感性情報は, 繰り返しによる学習効果は小さいが, いったん記憶された感性情報は短時間では忘却されにくいと結論できた。