(1) 実際の製造場で調査した結果, 床に取り込んだ場合, 麹菌の増殖が始まると蒸米堆積層の酸素濃度は急速に減少し, 切返し (盛り) 付近でほぼ0%になった.逆にCO2濃度は増加し約20%に達した。一方, 機械製麹機の場合, 床期間における酸素濃度の低下および炭酸ガス濃度の上昇はわずかであった。 (2) 実験室において上記のような気相条件の違いを再現し, 麹菌の増殖と酵素生産に与える影響を調べた。その結果, 引込みから盛りまで密閉状態に置き, 盛り後常法により製麹 (床期間密閉製麹) した場合は, 引込みから盛りまて密閉しない状態におき, 盛り後は前者と同一条件で製麹 (非密閉製麹) を行った場合に比べ, 菌体量, 酸性プロテアーゼおよび酸性カルボキシペプチダーゼは少なく, しかもα-アミラーゼおよびグルコアミラーゼ力価の強い麹が得られた。