固定床付き酵母法に使用する酵母を取得する目的で, 凝集性酵母 Hauseuula ammala J224株とデンプン分解能の高い酵母 Hansenula fabiauii J640株との問でプロトプラスト融合法を用いて, デンプン分解能が高く, かつ凝集性付着性の強い酵母の育種を試みた。融合の結果, 5菌株が得られ, うち2菌株は染色体レベルで融合していることが, パルスフィールド電気泳動で確認された。得られた融合株の性質を親株と比較したところ, グルコアミラーゼ活性は, 融合株で H.fabianii J640株の約60%程度, 凝集性も H.anomnala J224株の60%程度となり, 両親株の平均的な性質を示した。凝集機構に関与している細胞表層のタンパクをSDSポリアクリルアミド電気泳動で調べた結果, 融合株5株にはJ224株と同様のタンパクのバンドが確認された。5菌株のうち, Nα4株を選択し排水処理能の評価を行ったところ, ひも状固定床への付着性は良好で, デンプンを含む合成排水を用いた連続処理の結果では, BOD容積負荷3~4.59/ l ・dの条件でBODを80%除去し, TOCは70%の除去率が得られた。これらのことより, 融合株No.4株は排水処理用実用株として使用可能と思われた。