清酒粕には,たんぱく質が小麦と大差なく含まれており,未利用資源の再利用の観点から見ても,十分な食品原料となり得るものと考えられた。そこで清酒粕を用いて醤油様調味料の製造について検討したところ,清酒粕の使用量に関係なく,麹の酵素力価は通常の醤油麹となんら差異のない麹を製麹することができた。また清酒粕の使用量を増やすと,全窒素,ホルモール窒素は減少したが,タイプ1(小麦使用量の30%代替のもの)では対照区の醤油に比べ大差ないものであり,またアルコーレにおいては,清酒粕の使用量を増加させるにしたがって高い値を示した。さらに官能的には,タイプ1は対照区の醤油と差が見られず,タイプ2(小麦使用量の50%代替のもの)は呈味においては大差ないものの色が淡くなる結果を得た。清酒粕が醤油原料として十分使用可能であると考えられた。さらに清酒粕の使用量を増すことにより色調が淡くなることから,淡口系への利用が示唆された。