清酒製造業の担い手であった季節労務の杜氏集団は時代の推移により後継者となるべき新規参入がなく, 代わって地元採用の年間社員等による製造形態へと転換を図らざるを得ない状況が進行しつつある。今回は〈技術・技能の伝承〉シリーズとして, 兵庫県酒造業界等で永年指導的立場におられた筆者に, 自らも酒造従業員として蔵内の造りを経験された若年時代を含め何十年にもわたる「酒造り」との関わりを振り返っていただき, 後の世代に贈る言葉とさせていただいた。