2年から14.5年貯蔵の貴醸酒の一般成分,有機酸及びアミノ酸組成等を測定して次の結果を得た。 1.着色度,紫外部(280nm)吸収,酸度及びアミノ酸度は貯蔵期問と共に増加し,pHが低下する傾向がみられた。 2.有機酸では,乳酸の増加が著しく貯蔵中に全有機酸の約50%を占めるまでとなった。増加乳酸の多くは,L-乳酸であった。クエン酸及びリンゴ酸は減少し,酢酸,フマール酸及びピログルタミン酸が増加し,ピルビン酸及びコハク酸の変化は少なかった。 3.アミノ酸は,増加を示すものが多い中で,Trpは不検出,Gluは減少し,Cys,Met,Lys,His,Argには大きな変化がみられなかった。 4.貯蔵中にアミノ酸が増加する理由として,貴醸酒が未分解のタンパク質やペプチドを多く含むことが原因と推定された。